猿丸大夫
※伝説の人で生涯は不明。
おくやまに紅葉踏み分け鳴く鹿の
声聞く時ぞ秋はかなしき
【歌の背景】この歌は『古今和歌集』で「詠み人知らず」とある。なぜ百人一首で猿丸大夫の作となったのか?それは平安中期、第一級の知識人であった藤原公任が猿丸大夫として『三十六撰』に選んだからだ。
【歌 意】人里離れた寂しい山で、散った一面の紅葉を踏み分けるように、山奥に入っていく牡鹿の妻恋いの声を聞くとき、もの悲しい秋がとりわけ悲しく思われる。
【作者のプロフィル】伝説の人で、その生涯は不明。奈良朝末期か平安初期の人と思われる。個人歌集として『猿丸大夫集』があるが、内容は『万葉集』抄出と『古今和歌集』読み人知らずの歌で、これが猿丸大夫と特定できるものは一首もない。